人にとって入浴は、からだを温める・からだを綺麗に保つといった意味でとても重要です。入浴をしないとからだによごれが溜まっていき、皮膚の病気や感染症になってしまう恐れがあります。
もちろん高齢者の方も入浴は必要なのですが、入浴の時は、立つ・座る・浴槽をまたぐなどある程度の運動が必要で、それが難しくてなかなかスムーズに入浴ができないといった状態になりがちです。
そこで必要なのが入浴介助になります。今回は入浴介助のやり方や入浴時にあると助かる介護用品を紹介していこうと思います。
入浴介助のやり方
入浴介助というのは普段の自分自身の入浴とは違って、相手のからだを洗うことになります。そのためお湯の温度はどうか・洗う時の力加減はどのくらいがいいか・入浴ができる状態にあるかなど、色々と注意しながら行っていく必要があります。
また、入浴中だけでなく入浴前・入浴後の準備もしっかりしておかなければいけません。
入浴前に注意すること
まず、体調を最優先に考え、空腹時や食事の直後はなるべく避けるようにしましょう。そしてしっかりと体温を測定し、平熱であるかの確認もしておきます。
次に脱衣所・浴室の準備をします。それぞれの空間に邪魔になる物があればどかして、介護者・介護される方の移動をしやすくしておきます。
脱衣所にはあらかじめタオルを敷いた椅子を用意して、そこに座ってもらった状態で力を入れすぎないように服を脱がせていきます。
浴室に入る時には、すでに浴室内は温まっている状態で、さらにシャワーのお湯も事前に温めておくとスムーズな入用ができるはずです。
入浴中に注意すること
浴室内の『浴室用椅子』に座ってもらう時には、座る部分をシャワーで温めて冷たくならないようにしておきます。そして足から順にシャワーをかけていき、からだ全体が温まったら、頭から洗っていきます。
次にからだも洗っていくのですが、それぞれ優しく洗いつつも洗い残しの内容に気をつけましょう。また、からだが温まってくると意識せず用を足してしまう場合があります。その時は一度そのまましてもらい、再度洗い直すといったように、とにかく丁寧に洗うことを心がけましょう。
浴槽に入ってもらう際には、浴槽をまたぐ動きをしなければいけないので、滑ったり転倒をしないように介助をしていきます。
入浴後に注意すること
入浴後ですが、からだが濡れたまま脱衣所に出ると一気に冷えてしまう危険があるので、できるだけ浴室内でバスタオルを使って水分をふき取っていきます。
ふき取れたら脱衣所に最初に設置した椅子に再び座ってもらい、からだが冷える前にすばやく着替えを行います。からだが乾燥しがちな高齢者の場合はこの時にクリームなどを塗るとやりやすいかもしれません。
着替えが完了したらドライヤーで髪の毛を乾かして、入浴介助は完了となります。入浴後には水分を取ってもらうことも忘れないようにしてください。
入浴介助を助ける介護用品
介護において入浴というのはとても難しい部類に入ります。高齢者の体調を気遣いながら、濡れた足場を移動し、そしてふらついたりした際も洋服を着ていないため掴むところがありません。一番事故が起きやすく、事故を防ぎにくい場所と言ってもいいかと思います。
そんな場所だからこそ、介護用品が必要になってきます。介護用品によって、介護者の負担を減らして、なおかつ入浴介助の危険も減らしていくことができます。
『入浴用椅子』『浴槽内手すり』『浴槽内椅子』『入浴台』『マット』と色々な種類がありますが、ひとつひとつがとても重要な役割を担っているので、それぞれ見ていきます。
入浴用椅子
背もたれやひじかけがついたタイプがあり、座り姿勢を安定させることができます。座面の高さも調節できますので、ご本人が座りやすく立ち上がりやすい高さに設定しましょう。
浴槽内手すり
浴槽をまたぐ動作は大きく足を上げて重心を移動させるため、手すりがあると安心です。浴槽に取り付けるタイプの手すりなら、ご本人が握りやすい大きさ・位置に設置しましょう。
浴槽内椅子
浴槽内にいすを置くとお湯の中での立つ・座るという動作をしやすくなります。肩までお湯につかれなくなりますが、心臓に持病がある方や体力がない方にはむしろ半身浴のほうが負担が少なく済みます。
入浴台
手すりを使って浴槽をまたぐのが難しい方には、座り姿勢のまま浴槽内へ体を移動できる入浴台がいいでしょう。入浴台は浴槽のふちにかけて使用し、また、体を洗うときにも使うことができます。
マット
浴室の出入り口との段差をなくしつまずきにくくしたり、浴室内で滑ってしまうのを防ぐことができます。介護者・高齢者どちらの危険も減らすことが可能です。
入浴介助のやり方とおすすめの介護用品まとめ
入浴は必ず必要になってくる一方で、しっかりと準備をしないとふらつき・転倒の危険性が高まります。それを防止するためにも、入浴前後の動きを頭に入れて、場合によっては介護用品の助けを借りて安全に、そしてスムーズに行えるようにしましょう。